国際的に高い評価を受け、日本を代表する映画作家として精力的に活動し続けている是枝裕和監督。テレビマンユニオンでドキュメンタリーの制作に携わった後、劇映画を手がけるようになった是枝監督の作品には、社会から置き去りにされ、孤立した存在が数多く登場します。彼らに寄り添い、同じ場所に立って彼らの世界を描く監督のまなざしは、現代社会が抱える問題を提示すると同時に、普遍的な感動を私たちに与えてくれます。
是枝監督のまなざしは、映画界の未来にも向けられています。制作者集団「分福」を立ち上げて、オリジナル作品を製作する環境を整え、後進を育てる役割を担うほか、労働環境の改善や映画界全体の新たな仕組み作りに対しても積極的に取り組まれています。
また、国際映画祭を中心にしたアジアや世界の映画人とのネットワークを活かして国際的な作品製作を実現している是枝監督は、今や最も大胆で旺盛な活動を展開している映画作家の一人です。
本展では、是枝監督のこれまでの軌跡を振り返ると同時に、日本、そしてアジアの映画界の未来を見据えた監督の現在、これからを見つめる企画展を開催します。